Lian Li TU150のレビューをします。
同製品はコンパクトなMini-ITXケースで、取っ手(キャリングハンドル)が付いていることが最大の特徴です。
ラーメン屋さんが出前で使うものに似ていることから、おかもち(岡持ち)ケースと呼ばれたりします。
TU150はアルミ or ガラスパネル、シルバー or ブラックの合計4製品が販売中です。
- TU150A (シルバー、アルミサイドパネル)
- TU150X (ブラック、アルミサイドパネル)
- TU150WA (シルバー、ガラスサイドパネル)
- TU150WX (ブラック、ガラスサイドパネル)
※2020/05/30時点でアルミサイドパネルモデルは、Amazonでの取り扱いがありません。
ケースタイプ | ポータブル |
---|---|
サイズ | (D)375 x (W)199 x (H)312 mm ※ガラスモデルは幅が202mm |
ドライブベイ | 2 x 2.5 or 2.5 + 3.5 |
拡張スロット | 3 |
CPUクーラー | 高さ165mmまで |
ビデオカード | 長さ320mmまで |
電源 | SFX/SFX-L対応 |
対応マザーボード | Mini-ITX/Mini-DTX |
メーカー製品情報ページ
Lian Li TU150の外観と付属品
Lian Li TU150のパッケージサイズは35.5 x 27.2 x 44cm。
パッケージを開封した様子。
ケースはビニール袋と発泡スチロールで守られています。
本体正面の様子。
デフォルトではハンドル部分が収納されています。
ボタン、I/Oポート類の様子。
左から電源ボタン、USB3.1 Type-C、USB3.0 Type-A x2、オーディオ端子、マイク端子、リセットスイッチです。
ケース左側面の様子。
下側にはパンチ穴が開けられています。
こちらは主にビデオカードの吸気・排気用です。
フロントパネルの斜め前には吸気用の穴が空いています。
逆側も同様です。
キャリングハンドル(取っ手)を出した様子。
パーツを組み込んだ後でも問題なくケースを持ち運びできます。
ケース背面の様子。
左上に電源端子、中央左はバックパネル用の穴、中央右は120mmファン取り付け部、一番下に3つの拡張スロットがあります。
拡張スロット右側のネジは盗難しにくくする仕組みだと思いますが、ドライバー1本で対処できるので時間稼ぎ程度にしかなりません。
ケース右側面の様子。
パンチ穴の辺りにはSFX電源が収まります。
左サイドパネル内側の様子。
本体とは金属の突起で固定します。
取り外す時は引くだけで、固定ネジはありません。
右サイドパネル内側の様子。
こちらも同様に突起で固定する形です。
ケースを動かす時にサイドパネルを持つと簡単に外れるので、基本的にキャリングハンドルを使うようにしましょう。
ケース内部の様子。
付属品は取扱説明書、ネジ類、ドライブ取付ゴムだけです。
ケース底面の様子。
脚はプラ製で滑り止めゴムが付いています。
120mmファン x2を取り付ける時はこちらから固定します。
フロントパネル内側の様子。
両サイドパネルとは違い、こちらには突起がありません。
四隅に突起を受ける部分があり、突起本体はケース側に付いています。
フロントパネルを外したケース前面の様子。
こちらにはダストフィルターが付いています。
120mmファンはネジ固定です。
前面I/Oポート用のケーブルを紹介していきます。
これはUSB3.0 Type-A用のケーブルです。
USB3.1 Type-C内部ケーブルの様子。
マザーボード側に接続端子が無い場合は使用しません。
HD AUDIOケーブルの様子。
オーディオ・マイク端子を使用する場合に接続します。
パワースイッチとリセットスイッチケーブルの様子。
他のケーブル(ドライブのアクセスランプなど)はありません。
トップパネル内側の様子。
サイドパネルと同じく、こちらも突起が付いています。
背面の電源端子とSFX電源は備え付けのケーブルで接続します。
SSDにゴムとネジを取り付けた様子。
(SSD → ハンバーガー型ゴム → ネジの順)
画像では分かりにくいですが、ゴムの隙間にケースの金属部分を通して(挟んで)固定します。
ケース本体に2.5インチSSDを取り付けた様子。
四隅全てのゴムできれいに固定するのは結構難しいです。
固定力が弱いので、ケーブルを接続する時は手でドライブをしっかり抑えてください。
手で抑えなかった場合は固定が外れるだけですが、きれいに固定できていた場合はげんなりします。
Lian Li TU150の組み立て手順
TU150にPCパーツを組み込んだ様子。
Mini-ITXケースとしては狭くありませんが、ある程度考えながら組み立てる必要があります。
わたしは下記のような手順で組み込みました。
1.マザーボードにCPUクーラー用の台座を取り付ける。
(ケース外での作業)
※クーラー本体はまだ取り付けない
2.2.5インチSSDをケースに取り付ける。
3.マザーボードをケースに取り付ける。
4.USB3.0ケーブルやスイッチケーブルなどをマザーボードに接続する。
5.電源を取り付けて、マザーボードとSSDに接続(配線)する。
(ATX/EPS 8pinやSATAケーブルなども取り付けてください)
6.CPUクーラーのファンケーブルをマザーボードに接続してから、クーラー本体を取り付ける。
もちろんCPUグリスを塗りましょう。
わたしは親和産業 シミオシ OC Master SMZ-01Rを使用しています。
7.ビデオカードを取り付ける。
補助電源ケーブルも接続します。
長めのビデオカードを使う場合はブラケット側(ケース背面側)を先に入れると、取り付けやすいです。
2スロットビデオカードを使う場合は25mm厚のファンを取り付け可能ですが、代理店(DIRAC)は15mm厚のファンを推奨しています
8.ケースファンを取り付けて、ケーブルを接続する。
ここまでで組み立ては完了です。
スペースは広くありませんが、一応裏配線は可能です。
というか、ケーブルをうまくまとめないとサイドパネルが閉まりません。
画像の状態では閉まらなかったので、この後にケーブルをさらに整理しました。
※CPUカットホール下部にある薄い黄緑のものは、マザボ裏面にあるM.2 SSD用の熱伝導シートです
トップパネルを外したケース上面の様子。
こちらにも配線用スペースがあるので、ケーブルの整理に使用しましょう。
Lian Li TU150の長所
- 持ち運びが楽
- TU150にはハンドルが付いているので、持ち運びがとても楽です。
PCケースを持ってどこかへ行く機会はLANパーティや引っ越しぐらいしか無いかもしれませんが、日常生活でハンドルが活躍する場面があります。
それはパーツ交換をする時です。
わたしはケースを机の下に置いているので作業の際は移動させる必要がありますが、ハンドルのおかげで明らかに腰への負担が少なくなりました。
作業後に戻す時もやはり楽です。 - 大型PCパーツも収まる
- CPUクーラーは高さ165mmまで、ビデオカードは長さ320mmまでなので、Mini-ITXのケースながら多くのPCパーツが収まります。
入らないのは240mmクラス以上の簡易水冷クーラーやCRYORIG R1 Ultimate V2などです。
※120mmクラスの簡易水冷はOK
また、拡張スロットが3スロットなのは大きなメリットになります。
ミドルクラス以上の製品だと2.5/2.75/3スロットのクーラーを搭載しているビデオカードもありますが、TU150なら問題なく取付可能です。
Lian Li TU150の短所
- 底面ダストフィルターが無い
- ビデオカードを使用する場合、底面から吸気することになりますが、ダストフィルターが無いため埃が入りたい放題です。
気になる方は別途ダストフィルターを購入しましょう。
わたしはマグネットタイプのダストフィルター(120mm 4枚入り)を購入して使用しています。
少しでも取り外しの手間を減らしたい人は120mm*240mmのダストフィルターを選ぶと良いでしょう。
Lian Li TU150の組み立てに使ったパーツ
今回、TU150の組み立てに使った主なパーツとポイントを紹介します。
今回は12コア24スレッドのCPU Ryzen 9 3900Xを使いまわしました。
TDPが105W、PPT 142Wなので発熱が大きく、CPUクーラーのファンもうるさくなりがちです。
対策としてはPPTの設定を変更する、冷却性能の高いクーラーを選ぶ、CPUを変更するなどが挙げられます。
わたしの場合は3900Xがオーバースペックだと感じていたこともあって、TDP65W、PPT 88Wの3700Xを新たに購入しました。
その結果、CPUクーラーのファン音も小さくなったので満足です。
当初、3900Xを使う予定だったのでツインタワーのThermalright SilverArrow T8を選びましたが、これは完全に失敗でした。
問題は下記の2つ。
- 配線作業が困難
- ファンがうるさい
1の問題はマザボ取付 → 配線 → CPUクーラー取付という手順にすれば、回避できます。
ただ、2の問題は我慢できませんでした。
冷却性能自体は高いのですが、付属ファンのTY-143Bがとにかくうるさいです。
マザボ側で回転数を絞ってもうるさいレベルでしたが、Noctua NH-U12Aに買い替えたら、だいぶマシになりました。
予算を抑えたければ、サイズ 虎徹 Mark IIあたりでも良いでしょう。
CPUクーラー上のドライブスペースを使用する場合は、上記2つのような120mmファン採用モデル、もしくはトップフロー型のCPUクーラーがオススメです。
SilverArrow T8のような大型クーラーだと、ドライブと干渉する可能性があります。
現状、PCIe Gen.4対応のビデオカードやSSDは使っていませんが、今後使いたいと考えていたのでX570チップセットのX570 I AORUS PRO WIFIを選びました。
価格が安めなのも理由の1つです。
他の選択肢としてはASUS ROG STRIX X570-I GAMINGやASRock X570 Phantom Gaming-ITX/TB3があります。
ASUSの方は価格が高めだったこと、ASRockの方はM.2スロットが1本しか無いため選びませんでした。
後で気付いたのですが、TU150はMini-DTXにも対応しているのでASUS ROG CROSSHAIR VIII IMPACTも使用可能です。
IN WIN IW-CS700-SFXを選んだ理由は700Wなのに安価だから。
他の700WクラスSFX電源と比べると、3千円以上お安く買えます。
ただ同製品は品薄だったので、当初はSilverStone SST-SX650-Gを購入する予定でした。
ZOTAC GAMING GeForce RTX 2070 SUPER AMP Extremeは使いまわしです。
同製品は長さが308mmあるので、斜めにしてブラケット側から入れる必要があります。
また、厚さ2.5スロット仕様なため、底面に120mmファン(25mm厚)を取り付けるのは困難です。
メンテナンス性を重要視するのであれば、長さが短め(209.6mm)のRTX 2070 SUPER MINIや標準サイズ(268mm)のRTX 2070 SUPER Twin Fanなどをオススメします。
WESTERN DIGITAL WDS100T2B0Aも使いまわしになります。
上でも書きましたが2.5/3.5インチドライブは固定しにくいので、M.2 SSDで完結するのが理想です。
予算があるならNASを使って、ドライブ数を減らすのも有りかと思います。
わたしはお金に余裕ができたらADATA XPG SX8200 Pro 2TBやSeagate FireCuda 520 2TBなどを導入して、2.5/3.5インチドライブレスにしたいです。
2020/05/06追記
コスパに優れたNVMe SSD addlink S70シリーズ 2TB(ad2TBS70M2P)を購入し、2.5/3.5インチドライブレスを実現しました。
Lian Li TU150のレビューまとめ
TU150は1万円台前半のPCケースとしては質感も良く、スペック的にも優秀です。
Mini-ITXケースだと拡張スロットが2つのものが多いですが、3スロット対応なのでビデオカードを選ぶ際の幅も広がります。
ただ、静音性は期待できません。
わたしはNoctua NH-U12AとNoctua NF-A12x25 PWMを使っていますが、これだと許容範囲内です。
より静音性を求めるならば、ケースファンをNoctua NF-F12 PWMに変えても良いかと思います。
ちなみに室温24.2℃でCPUの温度は40℃台後半、ビデオカードは30℃台前半ぐらいなので、冷却性能に問題はありません。