Wi-Fi6(11ax)対応のゲーミングルーター TP-Link Archer AX11000のレビューをします。
同製品の特徴はトライバンド(5GHz x2 + 2.4GHz x1)であることで、3バンドの合計速度は10Gbpsとなり、超高速なWi-Fi環境を構築可能です。
ワイヤレス規格 | IEEE 802.11ax/ac/n/a 5GHz, IEEE 802.11ax/n/b/g 2.4GHz |
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最大速度 | 4804Mbps (5GHz), 4804Mbps (5GHz), 1148Mbps (2.4GHz) |
プロセッサー | 1.8GHz 64ビット クアッドコア CPU |
メモリー | 1GB RAM, 512MB フラッシュ |
アンテナ | ハイパフォーマンス外部アンテナ × 8 |
ワイヤレスセキュリティ | 64/128ビット WEP, WPA/WPA2, WPA-PSK/WPA2-PSK暗号化 |
ゲストネットワーク | 5GHz ゲストネットワーク x1, 2.4GHz ゲストネットワーク x1 |
インターフェイス | 2.5Gbps x1(WAN), 1Gbps x8(LAN), TypeA USB 3.0ポート x1, TypeC USB 3.0ポート x1 |
プロトコル | IPv4,IPv6 |
認証 | FCC,CE,RoHS,技適(電波法) |
保証期間 | 3年間 |
型番 | Archer AX11000(AX11000) |
※この記事は製品をご提供いただき執筆しています
TP-Link Archer AX11000の外観と付属品
TP-Link Archer AX11000のパッケージサイズは36.5 x 29 x 12cmです。
重量は2.7kgもあり、一般的なルーターのものに比べるとかなりずっしりしています。
想定されている推奨利用環境は戸建てなら3階建、マンションなら5LDK、最大接続台数は120台です。
これだけのスペックであれば、個人ユーザーはもちろん、ネットカフェやeスポーツカフェでも使用できるでしょう。
パッケージ裏にはWi-Fiが合計10Gbpsであること、セキュリティソフトウェア内蔵(TRENDMICRO HomeCare)であることなどが記載されています。
内箱に本体や付属品が収まっている様子。
本体を取り出すと下側にアンテナと電源ケーブルが収まっています。
製品内容(付属品)は下記。
- ルーター本体
- アンテナ8本
- LANケーブル(CAT5E,約120cm)
- 電源ケーブル
- 電源アダプター
- かんたん設定ガイド
- Wi-Fi情報カード
- 保証書
- 802.11axルーターにWi-Fi接続できない場合は?
- GNUライセンスに関するお知らせ
ユーザーガイド(詳細マニュアル)は公式サイトのサポートページからダウンロードする形になります。
本体にアンテナを取り付けた様子。
画像では分からないと思いますが、ルーターとしてはかなり大きく存在感があります。
本体手前側には左からWPSボタン、Wi-Fiボタン、LEDボタンがあります。
アンテナは真っ直ぐ挿すだけで取り付け可能です。
※角度調整はできません
本体右側面にはUSB3.0のType-AとType-C端子が1個ずつあります。
こちらにはUSBメモリや外付けHDDを接続可能です。
簡易NASやMacのバックアップ(Time Machine)として使います。
本体左側面には何もありません。
本体背面は左からリセットスイッチ、2.5Gbps WAN、1Gbps LAN x8、電源ボタン、電源端子です。
LAN2とLAN3はリンクアグリゲーション対応で、接続+設定を行うと2Gbpsの帯域として扱われます。
本体底面の様子。
4つのゴム足部分には壁掛け用の穴があります。
ルーター+アンテナで約1.5kgなので、壁掛けフックは耐荷重が記載されているもの(余裕があるもの)を選びましょう。
ちなみにフックの中心から2つ目のフックの中心までを17cmにすると、ほぼジャストになります。
一般的なルーターとは違い、Archer AX11000の電源ケーブルとアダプターはモニターやパソコン用のものに近いです。
横置きする分には影響ありませんが、高い場所に壁掛けする場合は注意が必要になります。
アダプターを床に置いた場合、ケーブルの長さの都合上、ルーターは高さ120cm未満にしか設置できません。
もっと高い場所に壁掛けしたい方は、アダプター本体の設置場所(机の上など)を確保する必要があります。
無理やりルーターを高い位置に壁掛けすることも可能ではありますが、アダプターの重さで端子やケーブルに負荷がかかるのでオススメしません。
Archer AX11000本体を壁掛けした様子。
わたしはホコリが溜まるのが嫌なので、LAN端子側を下にしています。
TP-Link Archer AX11000の初期設定方法(手順)
今回はArcher AX11000とスマホをBluetoothで接続して、設定を行っていきます。
WEBブラウザで設定する場合は、以前書いたArcher AX50のレビューを参考にしてください。
こちらのパートはかなり長いので、初期設定に慣れている方は読み飛ばして構いません。
※スマホの設定でBluetoothをオン(使える状態)にしておいてください。
(Androidの場合、設定>Bluetoothからオン)
1.TP-Link Tetherアプリ(Google Play / App Store)をインストールして起動します。
過去にTP-Link IDを作ったことがある人はメールアドレスとパスワードでログイン、ない人はサインアップしてください。
2.マイデバイスの右側にあるプラスマークをタップします。
3.選択肢が表示されるので、Archer AX11000 / Archer C5400Xの部分をタップします。
4.ハードウェアの接続をタップします。
5.ルーター本体にアンテナを取り付けて、次へをタップします。
6.モデムの電源を切って、次へをタップします。
7.ルーターとモデムをLANケーブルで接続して、次へをタップ。
マンションなどで壁にLAN端子がある場合、そちらに接続します。
8.モデムの電源を入れてしばらく待ち、次へをタップ。
9.ルーターと電源アダプターを接続し、本体背面の電源ボタンを押し込んだら終了をタップ。
10.ルーター中央のLEDが点灯(赤 or 白)するまで待ちます。
問題がなければLEDが点灯しているをタップします。
11.位置情報へのアクセスを許可をタップ。
12.ダイアログが表示されるので常に許可 or アプリの使用中のみ許可をタップします。
13.デバイスの検索が始まるので待ちます。
14.型番が表示されたら、Archer AX11000の部分をタップ。
15.ログイン画面が表示されるので、少し待ちます。
16.ローカルアカウントの作成画面が表示されたら、使用するパスワードを2回入力して、次へ進めます。
17.接続タイプを選択して次へをタップします。
分からない方は自動検出>次への順にタップしてください。
18.MACアドレスを変更しない(推奨)にチェックが入っている状態で次へをタップ。
19.2.4GHzのWi-Fiネットワーク名とパスワードを入力して、次へをタップ。
20.5GHz(1つ目)のWi-Fiネットワーク名とパスワードを入力して、次へをタップ。
21.5GHz(2つ目)のWi-Fiネットワーク名とパスワードを入力して、次へをタップ。
※5GHzの1つ目をゲーム用、2つ目をスマホや他の端末用といった形で分ける(分かりやすい名前を付ける)のがオススメです
22.これまでに設定したネットワーク名とパスワードが表示されるので、問題がなければ適用をタップ。
23.設定が適用完了になるまで、少し待ちます。
24.お疲れ様でした。と表示されたら終了をタップ。
25.適用したネットワーク名とパスワードが表示されるのでコピー>Wi-Fi設定を開くをタップ>パスワードを貼り付けてスマホとルーターを接続します。
26.接続が完了するとマイデバイス内のローカルデバイスにAX11000が表示されるので、そちらをタップします。
パスワード欄が表示された場合は、設定したものを入力してください。
あとは必要に応じて細かな設定を行います。
分からなければ、特に変える必要はありません。
ちなみにわたしが変更した設定は下記。
- ゲームセンター>ダッシュボード>デバイスの優先順位>デスクトップPCを有効化(赤い状態)
- ゲームセンター>ゲーム アクセラレーター>トグルスイッチを有効化
- 詳細設定>ワイヤレス>ワイヤレス設定>MU-MIMOを有効化して保存(5GHz-1と5GHz-2)
- 詳細設定>LEDコントロール>LEDステータスを無効化
上記4つはWEBブラウザで管理ページを開いた時のものです。
アプリで開く時は少し操作順が変わるかもしれません。
設定画面(ホーム)を開いた様子。
こちらではネットワーク名やパスワードを確認できます。
設定画面(ゲストネットワーク)を開いた様子。
ゲストネットワークを有効にしている場合、ネットワーク名やパスワードを確認できます。
設定画面(クライアント)を開いた様子。
こちらでは接続しているPCや端末、その速度などを確認できます。
設定画面(HomeCare)を開いた様子。
ここではペアレンタルコントロールやウイルス対策、QoSの設定を行えます。
設定画面(ツール)を開いた様子。
細かな設定はこちらから行えます。
ゲーム統計画面(ゲームセンター>ゲーム アクセラレーター)をPCのWEBブラウザで開いた様子。
こちらの画面では端末ごとのダウンロード/アップロード速度、レイテンシーなどをリアルタイムで確認可能です。
白塗りにしている部分には端末名やMACアドレス、IPアドレスが表示されています。
※端末名は分かりやすい任意の名前に変更することもできます
インターネット回線速度の計測
Googleのインターネット速度テストを使い、下記の4パターンの計測を行いました。
- Archer AX50の有線接続
- Archer AX11000の有線接続
- Archer AX50の無線接続(5GHz,11ax)
- Archer AX11000の無線接続(5GHz,11ax)
ルーターの違い、無線・有線の違いでインターネットの速度に差が出るのかを調べるために計測を行いましたが、大きな差はありませんでした。
自宅のネット回線(1Gbps契約)の場合、いずれもダウンロード速度は280Mbps、アップロード速度は200Mbps、レイテンシーは3msに収まります。
ゲーム時のレイテンシー計測と比較
実際にゲームを起動してレイテンシー(PING)を計測、ルーターの違いや有線・無線の違いで差が出るのかを比較しました。
試したゲームは下記の3つ(全てPC版)です。
- フォートナイト
- オーバーウォッチ
- THE DIVISION2
テスト環境は下記の4パターンです。
- Archer AX50の有線接続
- Archer AX11000の有線接続
- Archer AX50の無線接続(5GHz,11ax)
- Archer AX11000の無線接続(5GHz,11ax)
アジア | オセアニア | アメリカ西 | アメリカ東 | 中東 | ヨーロッパ | ブラジル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
AX50有線 | 9 | 114 | 105 | 162 | 189 | 201 | 288 |
AX11000有線 | 5 | 111 | 104 | 160 | 177 | 200 | 288 |
AX50無線 | 17 | 122 | 105 | 165 | 188 | 207 | 290 |
AX11000無線 | 5 | 113 | 104 | 159 | 184 | 201 | 289 |
フォートナイトでは設定画面からサーバーを選択する時に表示される数値を使用しています。
単位はms。
ルーターはAX50よりもAX11000の方が速く、接続は無線よりも有線の方が少し良い傾向となりました。
わたしは遅延が大きい(距離が遠い)ブラジルの方がレイテンシーが改善しやすいのかなと漠然と考えていたので、一番近いアジアサーバーの数値が小さくなったことに驚いています。
アジア | 南北アメリカ | ヨーロッパ | |
---|---|---|---|
AX50有線 | 83 | 114 | 282 |
AX11000有線 | 70 | 100 | 279 |
AX50無線 | 84 | 195 | 282 |
AX11000無線 | 84 | 128 | 280 |
オーバーウォッチは設定で遅延を表示に変更し、練習場で計測を行いました。
単位はms。
こちらでもAX11000が少し有利な傾向です。
ただ、オーバーウォッチはサーバーが弱いのか、接続人数が多すぎるのか、時間帯の違いでかなり結果が変わってしまいます。
アジアサーバーで30ms台の時もあれば、100msを超える時もあるので、テストとしてはやや不向きでした。
遅延 | |
---|---|
AX50有線 | 18.5 |
AX11000有線 | 17.0 |
AX50無線 | 21.5 |
AX11000無線 | 17.5 |
THE DIVISION2では設定>ネットワークステータスから確認できる数値を使用しています。
単位はms。
場所はデフォルトのスタート地点であるホワイトハウス前です。
ゲーム起動後、1分間数値を計測して最大と最小の平均値を出しました。
こちらもAX11000が速い結果です。
TP-Link Archer AX11000の長所
- レイテンシーが縮まった
- 今回試した3本のゲーム全てでレイテンシーが縮まりました。
ラグが発生しやすいDIVISION2やFallout 76をプレイしてみても、大きなラグ(ダメージが入らない、ワープ、巻き戻るなど)に遭遇する回数は減ったように感じます。
とはいえ、超大幅にレイテンシーが改善されたり、ラグがゼロになったりする訳ではありません。
ゲームサーバーの性能や混雑具合、他のプレイヤーの通信速度など複数の要因があるものなので、これは仕方ないことです。 - トライバンドである
- トライバンドだと5GHz 1本目をゲーム専用、5GHz 2本目と2.4GHzを普段用という風に分けられます。
そうすることでゲーム用の帯域を確保し、動画ストリーミングなどとの干渉や通信速度低下を回避することが可能です。
ワイヤレス環境で安定的なゲームプレイを望むなら必須の機能とも言えます。 - 電波範囲が広い
- 4LDKの自宅にArcher AX11000を設置して使用していますが、電波が届かない(入らない)場所はありません。
また、Archer AX50を使って計測した時よりもWi-Fi速度は高速です。
TP-Link Archer AX11000の短所
- WANは2.5Gbps、LANは1Gbps
- 有線で接続する場合、インターネット回線が1Gbpsなら全く影響ありませんが、5Gbpsや10Gbpsの場合はボトルネックが発生します。
※リンクアグリゲーションを使用しても最大2Gbpsなため
実際に10Gbps回線を使っている人やスペック買いをする人は他社製ルーターに流れてしまうでしょうから、次期フラッグシップモデルではWAN 10Gbps/LAN 10Gbps(1個ずつ)をぜひ採用してほしいです。 - かなり大きい
- Archer AX11000とArcher AX50で幅は約28mmしか変わりませんが、奥行は倍以上です。
また、アンテナも太いのでかなり大きく感じます。
購入する方は前もって設置場所を確保しましょう。
壁掛けの場合、アンテナの赤色が目立つので異物感が大きくなりがちです。
ここらへんは慣れもありますが、横置き設置した方が馴染みやすいでしょう。
TP-Link Archer AX11000のレビューまとめ
今回行ったテストではレイテンシーが改善されましたが、それを体感するのはなかなか難しいと思います。
その一方で大きなラグの発生回数が減るのはわりと分かりやすく、恩恵を受けやすいです。
Archer AX11000を導入するイメージ(メリット)は、下記のような感じになります。
通信が安定する
↓
速度が落ちにくい + ラグが発生しにくい
↓
ゲームを快適にプレイできる
わたしはライトゲーマーですが、大きなラグが発生しにくくなったことでストレスが減り、快適になりました。